2000年9月、当時の上司からいきなり「明日からお客様相談室へ応援に行ってくれ」と言われた一言が、私にとって相談員への第一歩でした。
2000年夏、食品業界は様々な嵐が吹き荒れ、相談室の電話は毎日鳴りっぱなし。社内に相談室が設置されて数年しか経っておらず、人員がまったく足りない状態だったのです。「何で私が?」「私に電話対応ができるのかぁ?」様々な疑問が頭の中に渦巻きつつ、見習い相談室員(?)としての生活がスタートしました。(その後正式に人事発令があり、晴れて(?)正式な相談室員となりました。)
初めてお客様からの電話に出た時は、異常なほど緊張してしまい、何を話したのかも覚えておらず、対応中に書いたメモは字が震えていて解読不能なものでした。そして、しばらくの間は電話に出る事が怖かった・・・。電話の呼び出し音が鳴ると、あーぁと溜息が出てしまう。「この電話のお客様はいったい何を言ってくるのだろう?怒っているのかなぁ?ちゃんと対応できるだろうか?」恐怖と不安が入り混じった何とも言えない気持ちで受話器に手を伸ばす日々を送っていました。
しかし、日々お客様と話していくうちに電話に出る事への恐怖感は薄れ、私の中に新たな感情が出てきました。「お客様と話す事って、おもしろいかも・・・。」と思えるようになってきたのです。この仕事についてつくづく感じた事は、世の中には色々な人がいると言う事です。色々な感情を持っている人がおり、色々な判断基準を持っている人がいるということを、30代後半になって実感しました。最初は私が持っている感情や判断基準とお客様のそれとの差に戸惑いを覚えましたが、次第にその差を「おもしろい」と思えるようになったのです。そして、日々のお客様との出会いが楽しいと感じるようになっていました。
お客様対応が楽しくなって来たころ、また別の感情が私の中に生まれてきました。お客様に満足頂ける、ご納得頂ける対応をするだけでいいのか?と言う疑問です。そして、お客様からのご指摘やご意見、ご提案など、様々な「声」を会社に伝え、改善や新たな取り組みに繋げていく為に試行錯誤の日々がはじまりました。社内にある固定概念を変えることは想像以上に大変ですが、それもまたこの仕事の醍醐味と思っています。実際にお客様の声から商品の改善に繋がった時は、本当にうれしい。ちょっと大袈裟な言い方ですが、この仕事をしていてよかったと思える瞬間です。
この業務について4年と言う歳月が経ちましたが、今でも電話に出る一瞬は緊張します。でもそれは4年前に感じた恐怖に通じる緊張ではなく、新たな出会いに対する緊張です。これからもお客様から頂く様々な「声を聴くこと」に楽しみを感じ、お客様の「声」を社内に発信し続けて行きたいと思います。
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